患者との関わりは現場を通して学ぶもの

患者との対話のコツは、看護技術の手順のように正解があるわけではない。
病気や怪我で心身ともに弱っている患者は、苛立ちをぶつけてきたり、深く沈み込んだりすることが珍しくなく、どう声をかけるべきか難しいと感じる場面が多いだろう。
そんな患者との関わりに戸惑い、悩む新人看護師もいると思うが、それは未熟さゆえではなく、人としての対話の引き出しがまだ少ないからに過ぎない。
患者とのコミュニケーションの質を高めるためには、現場での生きたやり取りを吸収するのが大切だ。

会話の術を磨くのに有効なのが、身近にいるデキる先輩の振る舞いを徹底して真似することだ。
実際の現場には、患者の不安を和らげる表情や、話を引き出す相槌の打ち方、言葉選びなど価値あるヒントで溢れている。
ぜひ、憧れる先輩がどのようなタイミングで患者に歩み寄り、どのような対応をしているのかを観察し、自分の看護に取り入れてみてほしい。
最初は型通りの真似であっても、繰り返すうちにそれが自分の言葉となり、相手の心に届くケアの形へと昇華されていくはずだ。

結局のところ、患者との信頼関係を築く力は、場数を踏むことで得られる経験値に比例する。
上手くいかなかった苦い経験も、患者から感謝された温かい記憶も、それらすべてがあなたの看護観を形作る糧となるだろう。
一度の失敗で対話を恐れるのではなく、一期一会の出会いを大切にしながら、誠実に相手に向き合い続ける姿勢を大切にしてほしい。
それを継続していくことで、豊かな人間性を育んでいく過程の楽しさが見えてくるはずだ。